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昼が夜に負うもの [本]

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青い目で、天使のような顔をしたアラブ系の少年ユネス。彼は、身を寄せる伯父に降りかかった災厄のために、果樹園が立ち並ぶ美しい村リオ・サラドに移り住んだ。初めは新しい土地に馴染めなかったが、やがて、かけがえのない親友を得て、青春の日々を謳歌する。しかし、優美な少女エミリーの出現と高まる戦争の足音が、ユネスと友人たちの絆を引き裂く―歴史の闇に埋もれたアルジェリア戦争を背景にして、少年の成長と愛を流麗な筆致で描き上げる、フランスのベストセラー長篇。

ヤスミナ・カドラ「昼が夜に負うもの」。
結構な長編だった。でも100ページをすぎたあたりからグッと引き込まれ、後は一気。
著者はパレスチナやアフガニスタンを舞台にした紛争を扱った作品もあるみたいだけれど、本書のテーマは「愛」。歴史に翻弄される「愛」のドラマに酔わされました。
最後に主人公に訪れる「赦し」にはちょっと甘いかなとも思ったが、これはアルジェリアの独立戦争を背景にした壮大な「メロドラマ」ともいえる作品なのかも。読み応えはたっぷり。アルジェリアに興味のある人は読んで損はない。

戦争によって国を追われた登場人物のこんな言葉にアルジェリアの歴史の悲しみがにじむ。
そして私たちはみんな同じように祈ったものだよ。……どうして、私たち全員が一緒くたにされなくてはならなかったんだ。どうして、ほんの一握りの連中がしたことの責任を私たちが負わされたんだ。私たちは父が、祖父が、曾々祖父が生まれた土地で異邦人と見なされ、この手でつくりあげ、心血を注いできたはずの国から簒奪者と呼ばれたんだ。どうしてだ。その答えを得るまで、傷が癒えることはないだろう。

この小説は昨年フランスで映画化された。
日本で公開されるといいなぁ。
http://www.youtube.com/watch?v=2-uuHimmQ3I
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questao

遅くなって恐縮ですが「Astral’s Best 10」、聴かせてもらっています。
なんといってもアタマのサリフが格好イイ~! メールでもお伝えしましたがサリフからダラーラスまでの流れが絶妙です。
密かにエベネザー・オベイの長尺ジュジュのグルーヴと、その後にひっそりと流れるディランの渋さ、このエンディングもAstralさんのセンスを感じさせてくれます。
こちらの編集盤も昨日お送りいたしましたので、お時間のある時に聞き流してみて下さい。

アルジェリアはいま大変な事態になっていますが、こちらの歴史(メロ)長編小説は興味深いですね。

by questao (2013-01-25 01:03) 

Astral

questaoさん

ベスト盤お楽しみいただいているようで選曲者冥利に尽きます。
そうですね。アタマのサリフカッコいいですね。ってゆうかルーツ・マヌーヴァがカッコイーのか?
エベネザー・オベイの後のディランを置くというこのセンス(自分で言ってりゃ世話ない!)に気づいていただき光栄です。
実はこのベスト盤は自分でも気に入ってしまってヘビロテしてます(バカです)。

この本を読み終わったら、あんなことが起きてしまって言葉もありません。この本長いので映画で見たいですね。

questaoさんのベスト盤届きました!わーい!
とりあえず一回通して、あえて曲目も見ずに聴きました。
うーん、とりあえずひと言「スピリチュアル!」
詳しい感想はのちほど、もっと聴き込んでから。
でもヘビロテ間違いなしですよ!
by Astral (2013-01-25 21:22) 

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