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腹六分目のアイリッシュ・ソウル [ポップ/ロック]

Van born to.jpg

しばらく音楽記事を書いてなかった。
というのも、ここ一週間くらいヴァン・モリソンの新作「Born to Sing: No Plan B」について記事にしようと思いながらどうも書き出せずにいた。

このブログをはじめてから初めてのヴァンの新作。
まぁヴァン・モリソンというのは僕にとってはやはり特別なミュージシャンではある。
最も時間を費やして聴いてきた人でもあるわけで。

でも以前にも書いたけどここ最近は新作が出てもそれほど聞き込んだ覚えがない。
それはワールド・ミュージックのほうに音楽的な興味が移ってしまったからというのもあるし、他にも理由がある。

で、この新作ですが、まだうまく評価が定まらない。ヴァンというのは僕にとってはあまりに近すぎる人なので。以下ほとんどまとまりのない、覚書みたいな文章ですが、まとめようとするといつまで経っても記事にできなさそうなので、そのつもりで読んでください。

このアルバム・タイトルはなんだかいまさらだよなぁと思う。
それにこのジャケ。7~8年前に出したブルーノート盤はいかにもブルーノート的・リード・マイルス的なデザインで洒落てたのに今回はイマイチ。残念。

最近のヴァンの不満なところは妙に声を張り上げるとこ。
前作のライブ盤でも繊細に歌って欲しいところで声を張り上げてしまう。
若いころと比べるとヴァンの声は体形に比例して?太く低くなった。
かなり声質の変化があった人だと思う。ミック・ジャガーにしてもロッド・スチュワートにしても基本変わってないよね。70年代のヴァンの声と90年代以降の声はかなりちがう。以前も声を張り上げてシャウトしていたけど、高音がちゃんと出ていた。でも今は昔の様には出ないのでどうもごり押しっぽく響いてしまう。
衰えて声が出なくなったとかいうんじゃない。今でもでかくて強い声だと思う。

90年代に中村とうようさんがヴァンにたいして「節回しが安っぽくて、どうして大歌手みたいに言われてるのかわからない」とか言ってるのを読んだ記憶がある。当時どっぷりヴァンの音楽にはまっていた僕だけれど、それを読んで頭にきたというわけじゃなく、なんとなくそう言うのもわからなくはないという気持ちもあった。
たとえば、ライブ盤「ナイト・イン・サンフランシスコ」で「テュペロ・ハニー」をブライアン・ケネディが繊細に歌い綴った後、ヴァンの歌がごり押し的になだれ込んでくるのを聴いてちょっと不満に思わないでもなかったから。

それはたとえば同年代であろうハリス・アレクシウやヨルゴス・ダラーラスなどのギリシャ歌謡やトルコ歌謡をここ数年で僕が聴くようになってしまったからかもしれない。歌に対する評価が厳しくなってしまった。
比較するのがおかしいのかもしれない。

この新作はミディアム~スローな曲が中心で、声を張り上げないので全体的に気持ちよく聴いていられる。
60~70年代は100%の力で歌っていたのが、90年代くらいからは腹八分目、最近は腹六分目くらい。でもそれでいい。それで十分ソウルのこもったスケールの大きい歌になるんだから。
四曲目の「End of The Rainbow」のような落ち着いた語り口の曲が特にいい。後半の軽くファンキーな「If we money we trust」もヴァンらしい即効的な歌が楽しめる。
既発表のインスト「Close Enough For Jazz」は歌詞を加えてヴォーカル入りに。ブルーノートからの作品ということで若干ジャジー方面に振れた作品かもしれない。コンボ・スタイルのシンプルなバックの演奏も過不足ない好演。

それでもまだアベレージを維持しているだけの作品かなとも思う。
友人が本作を「よかった」と言っていたのでやっぱり自分が厳しく聴きすぎているのかなとも思う。なんだかんだもう10回くらいは聴いたから。
でも、それもブログの記事にするために聴いてるのかなとも思ったり・・・。

以上、やはり訳のわからない文章になってしまいしたが、誰か僕の納得できるような正当な評価を聞かせてくれないだろうか。
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シャケ

こんばんは。

丁度、昨日ヴァンの新作が出たのを知り、記事を興味深く読ませていただきました。
ジャケは確かに新作とは気づかない程で、ライヴ盤かと思っちゃいました。

とうようさん、そんな事言ってたんですね。安っぽいとは思わなかったけど、アウトロで連呼したりするところが、特徴的(笑)。

歳取って声質変わる人もいますね。良い意味で曲作りは金太郎飴的な人なので、アルバム毎のグルーヴの重点の置き具合によって、僕の場合は好みが微妙に分かれるようです。
(未購入コメントで恐縮…。)
by シャケ (2012-10-11 19:22) 

Astral

シャケさん

まとまりのない文章を読んでくださりありがとうございます。
とうようさんはヴァンが嫌いではなかったと思います。
かつてレコードですが77年の「Period of Transition」のライナーも書いてましたし。

ヴァンの声が衰えたとは思わないし、今の声は今の声で好きなんですが、時にごり押し的に雑に感じてしまうのも確かなんですね。ライカやファドなどのような所謂歌謡音楽と同列に聴くのがおかしいのかどうなのかよく判らなくて・・・。

ロック・ファンによるヴァンの評価だと今の僕にはあまり説得力がないので、歌謡音楽中心に聴いているシャケさんの感想を読んでみたいですね。記事で絶賛してるわけでもないので勧めずらいですが・・・。
by Astral (2012-10-11 21:08) 

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