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自らと繋がる源泉を探して [ギリシャ]

MARIA ANAMATEROU.jpg

今年リリースされたギリシャ歌謡の中では評価の高いマリア・アナマテルー。
今年はもうダメかと思ったけど、なんとか入手できました。
youtubeで数曲聴いていたけど、予想以上に素晴らしい。

87年生まれの24歳。エルスールのレビューによれば「エーゲ海の島々、あるいはアルメニアやセルビアなどを旅し聞き集めた唄、音楽的インスピレーションから成るアルバム」とのこと。
年齢のせいかなんとなく学生の卒業制作/卒業論文みたいなイメージが浮かぶ。それは自らと繋がる音楽的源泉(ルーツ)を探して旅しその一応の成果をまとめた、みたいに聴こえるから。

今年はブルースをはじめアメリカン・ミュージックへの興味も再燃して数か月前にライ・クーダーの聴いたことのなかった「流れ者の物語」を中古で買ってよく聴いていた。ルーツ・ミュージックを自ら学びながら奏で歌う初期のライ・クーダーのスタンスになんとなく似た志向にも思える。
弦楽器中心のギリシャ・トラッド・サウンドが繊細で美しく、トータル・アルバムとしての完成度も高い。

正直に言えば、僕にはハリス・アレクシウは重厚すぎ、エレフセリア・アルバニタキは怜悧さが時に冷ややかに感じられる時がある。
このマリア・アナマテルーはまだ若いせいもあり、重厚すぎずまた知性が勝ちすぎることもなく、聴き終わった後に彼女の歌を聴いたという印象と共に見知らぬ土地を旅した時の風の匂いがそこにあるように感じられる。
少しかすれた歌声に漂う寂寥感は旅行鞄を手に一人駅に佇む人のよう。

今後きっとより大きな成果を聴かせてくれるはず、と期待を抱かせるに足る才媛の見事なデビュー作。
今年中に聴けてよかった。
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コメント 2

東京レコ・オヤジ960

>今後きっとより大きな成果を聴かせてくれるはず、と期待を抱かせるに足る才媛の見事なデビュー作。

全く同感です。知らない間に消えちゃって...とか、イケイケな歌手にならないことを祈ってます。
by 東京レコ・オヤジ960 (2011-12-22 20:37) 

Astral

レコ・オヤジさん

隅々まで丁寧につくられているのがよくわかる飽きのこない作品ですよね。ブックレットの何曲かにあるライナー?がなんて書いてあるのか気になってしょうがないです。
じっくり腰を据えて作品を作るタイプだと思うので、次作はすぐには出ないだろうなぁ。
by Astral (2011-12-22 23:26) 

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