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完璧に演出された素朴さ [ポップ/ロック]

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ジョー・ヘンリーの新作「Reverie」。
常に高く評価され、ここ数作はその年の年間ベストに挙げられることも多いジョー・ヘンリーだけど、僕はちょっと苦手だった。
「Scar」という作品が絶賛されたとき聴いてみたんだけど、あまり好きになれなかったし、プロデューサーとしても有能らしいが、アラン・トゥーサンの作品を聴いて本来その音楽がもっている熱気や猥雑さなどがすっかり切り捨てられ、「こんな素晴らしい音楽がかつてあったんですよー」的に博物館にかざられたような音に、彼の印象は悪くなるばかり。サリフ・ケイタもまるでアメリカのシンガーソングライターみたいにしてしまったプロデュースに嫌な予感が見事的中。彼がプロデュースしたってだけで聴く気が萎えてしまう今日このごろ。
僕の中では彼は伝統保存委員会委員長って感じかな。
だから世間の大絶賛の最近の作品もまったく興味がなかった。

今回購入した理由は昨年見た映画「千年の祈り」のエンディングで流れた「Wave」という曲が映画とマッチしてよかったから。もう一回ちゃんと聴いてみようかなって。

本作を聴いてよくわかった。
この人は演出家なのだ。
音だけでなくジャケットを含めたアートワークもライナーノートを自身で書いてしまうとこも。
ほんと全く隙がない。
その演出が好きな人は絶賛するんだろうな。自分の見せ方をよくわかっているというか。
今急に思ったのはカエターノ・ヴェローゾなんかとよく似てると思った。
すごーく知的な感じが。

ただ僕にはその完璧に演出されたところが鼻につく。
完璧に演出された中でミュージシャンたちもそれぞれの役をきっちり演じている。
本作はアコースティック・アルバムということらしいが、そのアコースティックな音像もどこか素朴さを装った素朴に聞こえてしまう。
ジェイ・ベルローズやマーク・リボーなど好きなミュージシャンばかりなのでやっぱりプロデュースに問題があるんだろうな。

なんか嫌味ばっかりになってしまったけど、それなりにこのアルバム気に入ってはいるんですよ(ホントかよ!)。
ただ、ミディアム・スローの曲ばかりで全14曲61分は長すぎるので、4曲削って45分くらいで収めてくれたらもっとよかったのに。
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